「全世界株式インデックス」と「S&P500(米国株式インデックス)」の中間に位置すると言えるのが、「先進国株式インデックス」です。

先進国株式インデックスのメリットって何ですか?

どういう人が先進国株式を選ぶといいのかな?
新興国は成長性が期待される一方で、政情リスクや通貨の変動が大きく、先進国に比べて値動きが激しくなりがちです。
そこで新興国を除いた先進国に投資するファンドが「先進国株式インデックス」になります。
今回は「先進国株式インデックス」で人気のファンドをピックアップして特徴をお伝えしていきます。
結論をまとめると以下の通りです。
- 先進国株式の構成比率はアメリカが約7割を占めており、全世界株式の約6割と比較しても、それほど構成に大きな違いはない
- 「アメリカ一国集中はちょっと不安」だけど、「変動の大きい新興国の投資は避けたい」という方にはちょうどいいバランスの選択肢

僕の旧つみたてNISAのメイン銘柄も先進国株式インデックスファンドです
それでは、代表的なファンドを比較しながら、先進国株式インデックスの特徴を見ていきましょう。
この記事で扱う「先進国株式インデックスファンド」の一覧
ご紹介する「先進国株式インデックスファンド」は、こちらの6本。
数字が並んでいますが、ポイントは「実質コストは低い方が有利」「純資産総額は大きい方が安心」の2つです。
名称 | |||
---|---|---|---|
略称 | 設定日 | 信託報酬※1 (実質コスト) | 純資産総額 (億円)※2 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | |||
ニッセイ外国株式 | 2013/12/10 | 0.09889% (0.117%) | 7,771 |
たわらノーロード先進国株式 | |||
たわら先進国 | 2015/12/18 | 0.09889% (0.129%) | 7,714 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | |||
Slim先進国 | 2017/02/27 | 0.09889% (0.137%) | 8,395 |
eMAXIS Slim 先進国株式(含む日本)<オール先進国> | |||
Slim先進国(含む日本) | 2024/10/25 | 0.09889% (未確定) | 35 |
SBI・先進国株式インデックス・ファンド | |||
雪だるま先進国 | 2018/01/12 | 0.06820% (0.116%) | 276 |
楽天・プラス・先進国株式(除く日本)インデックス | |||
楽天先進国 | 2023/12/22 | 0.08800% (0.231%)*3 | 108 |
※1:信託報酬は2025年6月時点で公開されているの交付目論見書より。実質コストは2025年6月時点で公開されている運用報告書から算出した推測値。海外ETFの経費率は信託報酬に含めず実質コストに含めています。
※2:純資産総額は2025年6月時点に公表されている運用レポートから算出。
※3:実質コストは1年未満の初年度期間を1年分に換算して算出
ここで紹介するのは、「個人投資家が選ぶ! Fund of the Year 2024」で上位獲得した投資信託や、「名前が似ていて間違いやすい投資信託」をピックアップしました。

最近になって新しい投資信託も増え、間違えやすくなっています
信託報酬:運用中に差し引かれる手数料で、0.5%以下であれば安いと言えます。(ご紹介している投資信託は0.1%以下の水準です。)
実質コスト:信託報酬以外の隠れコストも加えた総コストです。投資信託の比較は信託報酬だけでなく隠れコストまで見る必要がありますが、隠れコストは運用結果で決まるので過去実績を基にした推測値になります。
純資産総額:運用規模を表し、100億円以上あれば繰上償還(運用終了)のリスクは低いと言えます。
すべて新NISA(つみたて投資枠、成長投資枠)に対応しているため、非課税で保有が可能です!
先進国株式インデックスファンドとは
先進国株式インデックスとは、新興国を除く先進国を投資対象とするインデックスファンドです。
多くの投資信託が「MSCIコクサイ・インデックス」を指数としており、日本を除く先進国22カ国で構成されています。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を例に比べてみると分かりやすいです。(左がオルカン、右が先進国)


やはりここでもアメリカの比率が76%と一番大きいですね。
先進国株式インデックスファンドは、米国株式だけだと一国集中が気になったり、リスクが大きめな新興国を避けたい人におすすめです。
各ファンドの解説

ここからは各ファンドの特色や違いをお伝えしていきます
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド【低コストファンドのパイオニア】
まずご紹介すべきは、2013年に誕生した「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」です。

現在の低コスト型インデックスファンドの流れはこのファンドから始まったと言えます
<購入・換金手数料なし>も正式名称の一部であり、今でこそ当たり前な購入・換金手数料無料が当時は強いアピールポイントでした。
信託報酬も引き下げを続け、今なお業界最安水準を実現しており、他の最新ファンドと比べても互角以上の競争力を維持し続けています。
長年の運用実績から根強いファンも多く、多くの方に愛されているファンドです。
ファンド名は「外国株式」ですが、全世界株ではなく、日本を除く先進国株式になります。
ネット証券以外での取り扱いも多いため、ネット証券が使えない人には心強いファンドです。
たわらノーロード先進国株式【ニッセイと並ぶ実績ファンド】
みずほフィナンシャルグループのアセットマネジメントOneが運用する「たわらノーロード先進国株式」は、2015年に登場しました。
ニッセイ外国株式に次ぐ実績あるファンドで、純資産総額も7,000億円超と安定感があります。
信託報酬は0.09889%、実質コストは0.129%とコストも十分に低く抑えてあります。
コスト競争にも追いついていますが、ニッセイほど頻繁には下げていない印象です。

ニッセイ外国株式と違いを見出すのが難しいくらいです。
実質コストや運用会社の好み、取扱金融機関で選ぶことになるでしょう。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス【eMAXIS Slimブランドは健在】
「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」はオルカンと同じ「eMAXIS Slim」シリーズの先進国株式ファンドです。
オルカン人気に引っ張られてか、ニッセイ外国株式を抜いて純資産総額が1位となっています。
差別化が難しくなっている低コストインデックスファンドですから、この流れは今後も続くと思われます。
集計時の実質コストは最も高い0.137%になっていますが、実質コストは決算ごとに変動するため誤差のようなものでしょう。

ファンドの規模と、何より「eMAXIS Slilm」シリーズが好きな方におすすめです。
eMAXIS Slim 先進国株式(含む日本)<オール先進国>【こだわりの日本入りファンド】
「eMAXIS Slim 先進国株式(含む日本)<オール先進国>」は、2024年10月に登場した新しいファンドです。
従来の先進国株式インデックスファンドは日本を含まないタイプが主流でしたので、「ファンド1本で先進国全体をカバーしたい」というニーズに応えて作られました。
実質コストは決算を迎えないと判明しないため未知数ですが、他のファンドと同等水準になると思われます。
純資産総額も右肩上がりで順調に増えています。


オール先進国というコンセプトとeMAXIS Slimブランドで、これからの成長が楽しみなファンドです。
SBI・先進国株式インデックス・ファンド【雪だるま:小型株も含む先進国ファンド】
2018年に誕生した「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」はSBIの低コストファンド「雪だるま」シリーズの一つです。
この記事で紹介しているファンドの中で唯一「FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス」という指数に連動し、投資先に日本と小型株も含んでいます。
そのため、信託報酬は最安の0.06820%ですが、実質コストが膨らんで他社と同等水準となっています。
運用期間は長いものの、純資産総額はニッセイやeMAXIS Slimに大きく差がついています。

先進国に小型株を含む点に魅力を感じる方に向いてます
楽天・プラス・先進国株式(除く日本)インデックス【楽天ならではの低コストファンド】
「楽天先進国」は、楽天投信投資顧問が手がける新しいファンドで、2023年に設定されました。

最安の信託報酬0.8800%に強いコストアピールを感じます。
初年度のためか実質コストが0.231%と高めになっています。(初年度207日分を365日に換算して算出。)
翌年度以降の実績がどうなるか楽しみです。
現時点では楽天証券でのみ取り扱っており、楽天証券の投信残高ポイントプログラムの対象(0.033%)です。
ポイント分を差し引くことで実質コストをさらに低くみなすことができます。
新しいファンドのため純資産総額はまだ100億円程度ですが、今後も資産規模は増えていくと思われます。
まとめ
以上、おすすめの投資信託【先進国株式インデックス編】でした。
- 先進国株式の7割、全世界株の6割はアメリカが占めていて結局は大きな違いはない
- アメリカ一国集中は不安だけど、新興国には投資したくないという方におすすめ

全世界株式や米国株式(S&P500)の人気に比べると控えめな印象ですが、分散と成長のバランスがいい選択だと思います。
先進国株式インデックスにおいても、ご紹介したどの投資信託を選んでも間違いはありません。
何を選ぶかよりも、資産の一部を世界に投資して、その成長の果実を受け取ることが大切ですね。
全世界株式インデックスの記事とともに、ファンド選びのお役に立てばうれしいです。