投資信託を選ぶときとき、必ずぶつかるのが「どれを買えばいいのか問題」です。

オルカンってよく聞くけど本当にいいの?

似たような名前がたくさんあって違いが分かりません…!
僕も以前は同じことで困っていました。
そこで、今回はオルカンなどの「全世界株式インデックスファンド」を比較してご紹介します!
先に結論からお伝えしますと、
- 大きな差はないのでどれを選んでもOK!
- 迷ったらオルカンでOK!
です(笑)

身もふたもないですが、どこが違うのか、どうしてそう言えるのか、ご説明していきます
- この記事で扱う「全世界株式インデックスファンド」の一覧
- 各ファンドの解説
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)【オルカン:安定の王道ファンド】
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)【本家オルカンから日本を除いたバージョン】
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天VT:楽天の全世界インデックスの原点】
- 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド【楽天オルカン:楽天による妥当オルカンファンド】
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド【雪だるま:SBI低コストファンドの先駆け】
- SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド【SBIによる妥当オルカンファンド】
- たわらノーロード全世界株式【ネット証券以外の取り扱いも多い安定ファンド】
- はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)【オルカンをしのぐ実質コスト】
- まとめ
この記事で扱う「全世界株式インデックスファンド」の一覧
ご紹介する「全世界株式インデックスファンド」は、こちらの8本。
数字が並んでいますが、ポイントは「実質コストは低い方が有利」「純資産総額は大きい方が安心」の2つです。
名称 | |||
---|---|---|---|
略称 | 設定日 | 信託報酬※1 (実質コスト) | 純資産総額 (億円)※2 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | |||
オルカン(本家オルカン) | 2018/10/31 | 0.05775% (0.131%) | 59,301 |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | |||
オルカン(除く日本) | 2018/03/19 | 0.05775% (0.135%) | 6,379 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | |||
楽天VT | 2017/09/29 | 0.13200% (0.200%) | 5,703 |
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド | |||
楽天オルカン | 2023/10/27 | 0.05610% (0.196%)*3 | 3,676 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | |||
雪だるま(全世界株式) | 2017/12/06 | 0.06820% (0.114%) | 2,341 |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | |||
SBI・V・全世界株式 | 2022/01/31 | 0.06380% (0.136%) | 515 |
たわらノーロード全世界株式 | |||
たわら全世界株式 | 2019/07/22 | 0.10989% (0.162%) | 1,233 |
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) | |||
はじめてのNISA | 2023/07/10 | 0.05775% (0.082%)*3 | 562 |
※1:信託報酬は2025年6月時点で公開されているの交付目論見書より。実質コストは2025年6月時点で公開されている運用報告書から算出した推測値。海外ETFの経費率は信託報酬に含めず実質コストに含めています。
※2:純資産総額は2025年6月時点に公表されている運用レポートから算出。
※3:実質コストは1年未満の初年度期間を1年分に換算して算出
ここで紹介するのは、「個人投資家が選ぶ! Fund of the Year 2024」で上位獲得した投資信託や、「名前が似ていて間違いやすい投資信託」をピックアップしました。

投資信託って似てる名前が多くて間違えそうになるんですよね…
信託報酬:運用中に差し引かれる手数料で、0.5%以下であれば安いと言えます。(ご紹介している投資信託は0.1%以下の水準です。)
実質コスト:信託報酬以外の隠れコストも加えた総コストです。投資信託の比較は信託報酬だけでなく隠れコストまで見る必要がありますが、隠れコストは運用結果で決まるので過去実績を基にした推測値になります。
純資産総額:運用規模を表し、100億円以上あれば繰上償還(運用終了)のリスクは低いと言えます。
どれも「コストが安い」「世界中に分散投資できる」「長期的に成長が期待できる」「十分な純資産総額」という点ではどれを選んでも間違いありません。
すべて新NISA(つみたて投資枠、成長投資枠)に対応しているため、非課税で保有が可能です!
各ファンドの解説

ここからは各ファンドの特色や違いをお伝えしていきます
オルカンの名前が複数でてきて紛らわしいときは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を「本家オルカン」と表現します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)【オルカン:安定の王道ファンド】
すべての投資信託を含めてトップクラスの人気を誇る「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
「オルカン」の愛称が浸透したことで、運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)によって商標登録されています。
「迷ったらオルカン」と言われますが、人気の理由はネームバリューではなく、その中身が本当に良質だからです。
- これ一本で100円から全世界の約3,000銘柄に分散投資できる
- 「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」と明言されている
- 圧倒的な純資産総額(2024年の年間資金流入額1位)
- Webや書籍での情報の入手しやすさ
公表されているオルカンの運用実績を見てみると、短期的な上下はあるものの、長期では着実に右肩上がりで成長しています。


初心者から上級者、年代を問わず誰にでもおすすめできる王道ファンドです
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)【本家オルカンから日本を除いたバージョン】
『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』はその名の通り、本家オルカンから日本株を除いたバージョンです。

とはいえ、日本の比率は5%程度なので大きな違いはありません。
日本を除く理由は、
- 日本人の資産や収入の多くは日本円や日本株なので、投資対象を日本以外にして重複を避けたい
- 人口減少や高齢化が進む日本に投資する気になれない
といったニーズに対応するためでしょう。
では、日本を除いた結果はどうだったか。
各年の税引き前・年間収益率で比較してみます(ファンド公表値に基づき作成)
年間収益率 | 本家オルカン | 除く日本 |
---|---|---|
2019年 | +26.8% | +27.5% |
2020年 | +9.0% | +9.0% |
2021年 | +32.7% | +34.1% |
2022年 | -5.6% | -5.6% |
2023年 | +30.4% | +30.5% |
2024年 | +27.4% | +28.0% |
若干ですが「除く日本」のほうがパフォーマンスが良かった(つまり日本株が世界全体より低調だった)という結果になりました。
では、「本家オルカン」より「除く日本」のほうを選ぶべきでしょうか?
その答えは「どちらも良質なインデックスファンドでコストや運用姿勢もほぼ同じ。構成比の違いもわずかなので、自分が納得できるほうを選べば大きな間違いはなし」です。

ですが僕個人としては本家オルカンを選びます。
理由は以下の通りです。
- リターンの差はごくわずか
- 過去は未来を保証しない(今後は逆転する可能性もある)
- 本家オルカンは投資信託内で世界分散が完成しているという満足感
この記事を読んでくださっている方も、ご自分が気に入った投資信託を選んでくださいね。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天VT:楽天の全世界インデックスの原点】
2017年に誕生した「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(楽天VT)は、米国ETFであるVTを買い付ける投資信託です。

ETFとは簡単に言うと投資信託の一種です
VTは「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」という指数に連動し、大型・中型・小型株まで含む全世界約9,000銘柄に投資できる米国ETFであり、楽天VTは日本円で100円から投資できるお手軽さが人気でした。
一方、2018年に登場したオルカンは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」という別の指数に連動し、大型・中型株を中心とする全世界約3,000銘柄に投資するファンドです。

そんなに差があるのにオルカンは全世界株を名乗っていいの?

僕も最初はそう思ってましたが、実際のところ小型株の有無で全体のパフォーマンスはほぼ変わりません。
採用している指数のコンセプトの違いであって、どちらも全世界の株式市場を十分反映しています。
それどころかオルカンの方が若干パフォーマンスが良いという結果になっています。
- 「楽天VT」は、コストはちょっと高いけど小型株を含む全世界約9,000銘柄に投資したい人におすすめ
- 「オルカン」は、小型株は含まないけど全世界約3,000銘柄に投資できてコストを重視したい人におすすめ
似たような投資信託ですが、上記のような違いがあります。
コストも運用実績も大きくは変わらないので、お好みで選んで問題ありません。
しかし、オルカンの圧倒的人気に対抗すべく楽天は2021年に新たな投資信託「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」(楽天オルカン)を登場させました。
(後に「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」に改称。)
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド【楽天オルカン:楽天による妥当オルカンファンド】
「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」(楽天オルカン)は、その名の通りオルカンの楽天バージョンです。
「楽天VT」は、オルカンよりコストは高いけど大型・中型・小型株まで含む全世界約9,000銘柄に投資できる投資信託でした。
「楽天オルカン」は、オルカンと同じく小型株は含まない全世界約3,000銘柄に投資できてコストもオルカンと同水準に抑えられています。

完全にオルカンを意識してますね
楽天オルカンは楽天証券でのみ購入可能で、投信残高ポイントプログラムの対象です。
本家オルカンも楽天証券で購入できますが、投信残高ポイントプログラムの対象外です。
楽天ポイントにこだわりがあれば、楽天オルカンもおすすめですね。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド【雪だるま:SBI低コストファンドの先駆け】
「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」は2017年から続く低コストインデックスファンド「雪だるま」シリーズの一つです。

「雪だるま」という独特の愛称は「雪だるまを転がして大きくしていくように、長期運用で資産形成していく」という意味が込められているそうです
そんな「雪だるま」の特徴は、採用している指数が楽天VTと同じ「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」で、小型株を含む全世界約9,000銘柄で構成されています。
「楽天VT」と異なる点は、複数の米国ETF(VTI、SPDW、SPEM)を組み合わせることでより低コストを実現していますが、指数とのズレがやや大きめです。
「雪だるま」も良い意味で他のインデックスファンドと大きな違いはないという点で、どれを選んでも間違いではありません。
結局は迷ったら定番のオルカンを選ぶほうが無難ですし、すでに雪だるま全世界を所有していたらわざわざオルカンに乗り換えるまでもないと言えるでしょう。
SBIは2021年にSBI・Vシリーズという新たなインデックスファンドを新設しましたが、雪だるまシリーズは長年の運用実績で純資産総額も2,300億円を超え、今なお人気のインデックスファンドです。
新たに購入するならシンプルな仕組みで低コストなオルカンがおすすめですが、すでに雪だるま全世界を保有している人がわざわざ乗り換えるまでは必要ないと考えます。
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド【SBIによる妥当オルカンファンド】
SBIは2017年から「雪だるまシリーズ」という投資信託が人気でしたが、後発のファンドと比較すると「複数ETFを組み合わせる複雑さ」や「指数とのズレ」に課題がありました。
そこで、VT(海外ETF)に投資するという分かりやすい仕組みの「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」が2021年に登場しました。
「楽天VT」と同じく「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」に連動し、小型株を含む全世界約9,000銘柄で構成されています。

楽天が楽天オルカンで真っ向勝負をする一方で、SBIは本家オルカンとの差別化を狙ったのではないでしょうか
というわけで、SBI・V全世界をおすすめできるとしたら、
- VTを通じて小型株を含む全世界約9,000銘柄に投資したい
- 楽天証券ではないので楽天VTは買えない
といった方向けになります。
たわらノーロード全世界株式【ネット証券以外の取り扱いも多い安定ファンド】
独特なネーミングの「たわらノーロード全世界株式」(たわら全世界株式)は、アセットマネジメントOneが運用する「たわらシリーズ」の一つです。
「たわら」は豊かさや蓄えるイメージで俵から名づけられたそうです。
「ノーロード」は購入手数料無料という意味であり、今でこそノーロードが主流ですが、「たわらシリーズ」が生まれた2015年当時は購入手数料がまだ珍しかった時代でした。

この記事で紹介している投資信託もすべてノーロードです
オルカンのように「MSCI ACWI」を指数とし、米国ETFではなく直接株式を買い付ける仕組みですが、信託報酬はオルカンよりやや高めとなっており、積極的に選ぶ理由は少なくなっています。
ネット証券以外の証券会社や銀行でも取り扱いが多いので、「ネットは使えないけどNISAはやりたい」といった高齢世代などへの良質な投資信託としておすすめです。
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)【オルカンをしのぐ実質コスト】
「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」は、野村アセットマネジメントより2023年に登場した新しい投資信託です。
その名前から初心者向けオルカン風ファンドをイメージさせますが、登場時から0.05775%という超低水準の信託報酬が注目されました。
当時のオルカンの信託報酬は0.1133%であり、今と同じ0.05775%にまで引き下げる要因になったのは間違いありません。
また、初年度は高くなりがちな実質コストも他ファンドをしのぐ0.1%以下に抑え、驚異的なスタートダッシュを見せています。
2期目以降にその実力がどうなるか期待したいと思います。

これからの最注目ファンドと言えるでしょう
まだ運用実績が短くデータも少ないですが、今のうちから将来性に期待する人におすすめです。
まとめ
以上、おすすめの投資信託【全世界株式インデックス編】でした。
- オルカンはネームバリューだけでなくトップクラスの低コストと運用実績で誰にでもお勧め
- 人気がある低コストインデックスファンドであればどれを選んでも大きな違いはなし
- 圧倒的な資産規模と情報の多さから「迷ったらオルカン」でOK!
投資信託に興味を持つと、同じようなファンドをたくさん目にすることがあってよく分からなくなりがちです。

そんな時この記事が参考になれば嬉しいです
繰り返しですが、ご紹介したどの投資信託を選んでも間違いはありません。
正解があるとすれば、自分が納得できるものを選ぶということですね!
今回は「全世界株式インデックスファンド」の中でも代表的な2本をご紹介しました。
別の記事では「先進国インデックス」や「米国インデックス」ファンドについても見ていきます。
全世界以外も気になる方はぜひ参考にしてみてください。